事例紹介

信頼関係の深い従業員への事業承継 負担の少ない承継が地域を守る

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  •  森谷食品株式会社は、北海道釧路郡釧路町でお客様第一主義に徹することを理念に、北海道の厳選した山海の素材をベースに安全で新鮮な食品を供給している。創業は1956年で豆腐、油揚げ、こんにゃく類での製造販売を開始。前代表取締役社長である森谷恩氏(73歳)は2005年に2代目森谷紀夫氏より事業を引き継いでおり、事業承継の難しさや準備の大切さについて、実体験として理解していた。当初は同社に勤務する孫への承継なども考えたが、「身内だから当たり前に承継する」のではなく「各位の人生観等を尊重すべき」との考えから断念。2003年に取引先からヘッドハンティングにより転籍し自身の右腕として当社の発展に尽力してきた吉田孝行氏(当時常務取締役で現代表取締役、61歳)に事業承継を打診することとなった。

     その過程で、自身が承継した頃とは時代も世の中も変わっており、正しい情報に基づいた丁寧な打診を行うことが必要と感じたことから2021年に当センターに相談・支援を依頼、相談の場には森谷氏と吉田氏が必ず同席することを心掛けながら、短期間での事業承継実現に向けた当社の現状整理や今後の取組みについて検討することとなった。

     一方で吉田氏は、自身が後継者になることについてそれなりの覚悟はあったものの、短期間での承継に不安を感じる部分もあったことから、専門家の協力を仰ぎながら今後の取組みを目に見える形にする事業承継計画書を作成。また、経営者保証ガイドラインの要件充足により当該事業承継による保証解除を実施、加えて取引銀行より吉田氏が当社の株式を買い取るための資金を確保することで、事業承継に向けて吉田氏が感じていた不安材料をほぼ解消することが出来た。

     2022年8月に無事に代表者交代を果たし、吉田新社長は経営に奔走。森谷氏は勇退されたが、当面の間は毎日出勤してお昼には帰宅されるとのこと。